消火活動で注意するべきことは?災害現場(火災)でのフラッシュオーバー、バックドラフトについて ~秋田県能代市の建物火災で職員2名が殉職した~
取り急ぎ書いた記事でしたが、続きを書くのに日にちが空いてしまいました。
前回のエントリーはこちら。
秋田県能代市の建物火災で職員2名が殉職、仲間達はどう思う? ~今の気持ちと、学ぶべきことは何か~
今回は、前回書きそびれた、火災現場での消火活動中で注意することを、フラッシュオーバーと、バックドラフトという現象に絡めて記載していきます。
出動前から注意すること多数!
安全管理は、出動前からが勝負所です。
現場に到着してしまえば、すぐ活動しなければなりません。 到着して「あ、アレ忘れてた!」なんて戻るわけにもいきませんし、 あれこれ考えて立ち尽くしてたら、何しとんねん!って話になりますよね。
まずは服装。 消火活動中に、防火衣というものを着ていますが、隙間なく着る「完全着装」と呼ばれている状態にします。
そして119番通報で入った情報を頼りに、どういう活動をするか、どういう危険があるか、などを、現場に向かう車内で話し合います。
そして実際の火災現場では、その情報が全く違っていたり、役に立たなかったりすることも多いです。
フラッシュオーバーと、バックドラフトについて
さて、消火活動中の具体的な危険を挙げていきますが、その前にフラッシュオーバーと、バックドラフトと呼ばれている現象について説明しておきましょう。
フラッシュオーバーとは、意訳すると建物の構造物、家具等から発生した可燃性ガスに引火して起こる爆発的燃焼です。
ちなみに、火災現象の過程のひとつなので、大小はあれど、どの火災でもほとんど起きています。
そして、バックドラフトとは、意訳すると密閉されて酸素が少ない状況に、急に酸素が供給されることで発生する爆発です。
よくあるのは、マンションなどの一室で火災が発生、ドアを開けたら吹っ飛んだ!なんてやつです。
まぁ今回は本格的な解説ではないので、興味があれば検索して、別の機会に理論等について理解を深めていただきたいです。
あ、現職の皆さんは必修の内容ですので、勉強してください!
ちなみにバックドラフトは、映画もあるので興味があればどうぞ。
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フラッシュオーバーとバックドラフトは、対応策がある
いずれにせよ、活動中に爆発的に延焼してしまう事があるのです。
ではどう対応すればいいのか?ですが、以下の通りです。
- フラッシュオーバーは、冷やせば防げる
- バックドラフトは、入口に立たない
フラッシュオーバーの発生条件の一つに、「高温の可燃性ガス」があります。
ですので、放水して冷やせば防げますし、放水方法を変えて、ガスを散らしてやっても防げます。
ですが、バックドラフトは、防ぐのは難しいです。 上記の例のような、マンションの一室の場合は、ドアの前に立たないようにして、少しだけ開けて、衝撃を避ける程度しか出来ません。
更に、最近の住宅は気密性が高いため、木造でもバックドラフトが発生する可能性が高いです。
いずれにせよ、どちらの場合も、知らないで活動してしまうと、「何か知らんが爆発に巻き込まれた!」状態になってしまうので、予防と対策は頭に入れていて欲しいところですね。
その他、活動中に注意すること。実は先輩方は知っている
他に、現場で注意することは沢山あるんですよ。
事故事例を紹介すると、
- 建物内に進入するために割ったガラスで手、足を切った
- 立てかけていた三連はしごが倒れてきて怪我した
- 排気側から屋内進入して火に巻き込まれた
- 水を吸って膨らんだ土壁が頭に落ちてきた
- 残価処理中に床が抜けた
まぁ、先人達が既に通ってきた茨の道が、事例紹介として各所属に多く残されていると思います。
割と先輩達は、失敗談として、そして笑い話として話してくれると思います。 たまにはそういう話を聞いてあげるのも、いいコミュニケーションではないですか?
というお願いを、若い人にしておきます。 ひとりでも、悲しい思いをする人が減ることを願って。
今日はこの辺で。
秋田県能代市の建物火災で職員2名が殉職、仲間達はどう思う? ~今の気持ちと、学ぶべきことは何か~
すみません、更新が10日振りになってしまいました…。
まだあまり読者もいないので、ゆっくりやろう、という甘えがダメですね。
まずもって、早めに書いておかなきゃないな、という話題が上がったのでエントリーを上げておきます。
秋田市の火災、消火活動中に消防職員が殉職
全国ニュース等でも報道されていますが、平成31年1月22日、秋田県能代市での、店舗併用住宅火災があり、消火活動中に職員2名が殉職しました。
とても残念です。
職場は違えど、同じ消防の仲間。 同僚を失ったのと、同じくらい悲しいです。
そして言いたい。 バカヤローと。
ついに悪口言いやがった、と思うかも知れませんが、本音です。
亡くなった方達、そして現場にいた人達、そして上司に対して言わせてもらいます。
消防の仲間達へ、再確認。死んだら何も残らない
僕たち消防は階級社会、そして縦社会です。 基本、上司の命令は絶対なんです。 じゃないと組織として成り立たなくなるから。
消防学校でそう教わりましたが、もちろん例外はあるとも教わりました。
それは、自分に身の危険がある場合。
消防が活動をする際は、安全管理をしながら活動します。 それは二次災害の防止のためためです。
こんなニュース、聞いたことありませんか?
「溺れた子どもを助けに水に飛び込んだ男性、死亡」
これを聞いて、どう思いますか? これとまったく同じ事です。
僕らはプロとして、火災が現場に入り、消火活動を行い、必要とあれば火の中に入って行かなければなりません。
アメリカの消防は、ヒーローを求める国柄から、命の代償に助けた人間を崇めたりしますが、僕はそれを美談とは思いません。
だって、死んだら終わりですよ?
その人にも家族がいるだろうし、帰りを待っている人がいるだろうし、その人がこれから先、もっと多くの人を救ってくれるかもしれない。
でも終わり。
これはだめですよ、ゼッタイ。
今回の秋田県能代市の火災、何故殉職したか?
確かに、毎年活動中、又は訓練中に殉職しているのが、消防という職場です。
起きてしまった、それで終わってはいけません。
・今回、原因はなんだったのか? ・それを防ぐことはできなかったのか? ・次の現場に生かすことはできるのか? を、きちっと検討しなければなりませんよね。
報道では、フラッシュオーバーが原因ではないか?とされていましたが、皆さん、フラッシュオーバーってご存じでしょうか?
恐らく、今回の件で、全国の消防本部が文書を出し、検討会などを行っているはずです。
今回ピックアップされたキーワード、フラッシュオーバーについては、必ず触れられると思いますので、知ってる方は簡単に復習を、知らない方は事前に予習をしましょう!
…と思いましたが、始めの方に気持ちをぶつけた文書を書いてしまったので、今回はこの辺で。
チコちゃんに「サイコロの1の目が赤いのはわからない」って言われて、妙に納得したという話。
近頃連日のように火災と死者のニュースが報道されていますね。 いち消防人として、見てて悲しくなってしまいます。 たまたまこの記事を見た方々、是非とも火の用心を心がけてくださいね。
「チコちゃんに叱られる!」は、昨年話題の番組です
さて、今日はテレビの話題から。
NHKで金曜夜に放送されている「チコちゃんに叱られる!」という番組があります。
昨年の紅白歌合戦にも出演した、人気キャラクターのチコちゃんが、知ったか振りの大人達にいろいろな事を質問し、答えられないと「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と5歳児が叱ってくれる、そんな教養バラエティー番組です。
また、レギュラーメンバーにナインティナインの岡村隆史さんを迎えて、楽しくも勉強になる素敵な番組です。
何でも知ってて大人を叱りつけるチコちゃんにも、わからないことだってある
この番組の構成上、基本的にはチコちゃんからの質問に対しては、答えが用意されてます。 その答えが出てこないと、叱られるわけですから。
ところが先日の放送、事件が起きました。
「サイコロの目の1が赤いのは、わからない」
これがオンエアされている時間に、僕は皿を洗っていたので、このセリフを嫁さんから聞いたわけですが、これを見た嫁さんの感想はこちらでした。
「チコちゃん、ひどくない?わからないって何?」
まぁ笑いながらのコメントでしたが、少し納得がいっていないようでした。
まぁそうですよね。「答えを教えろ」って問いにに対して「わからない」って答えてますから。
もちろん、こういう編集になった理由はいろいろあると思います。 諸説あるようです、ちゃんと記録が残っていないようです、そもそも最初が何かわからない…など。
でも僕が今回、これを記事のネタにしたのは、そこではないんですよね。
作られた問題には答えがあるかもしれない。でも答えなんて、決められるものではなあた
例えば、「今日のお昼ご飯に、ラーメンを食べることは正しいですか?」という問題があったとします。
外は寒いし、先週の土曜日に食べてしばらく食べてないなぁ… という理由で、ラーメン食べたくなったりするんですよ。 それはある意味正解かもしれません。
でも、今食事療法中で、塩分を控えなきゃないのに食べようとしたら、不正解かもしれません。
例えば、「今日出会ったこの人と、結婚することは正しいですか?」という問題があったとします。
皆さんどう思いますか?
外見も、声も好き。少し話をしてみただけでときめいてしまう。 立派な仕事をしてるし、この人しかいない!
でも、数年後、モラハラとDVを受けることに…。
そもそも、答えなんてあると思っちゃいけないんですよね。 今はインターネットが発達してしまい、わからない事があるとすぐに検索できてしまうんです。
人生で大切なのは、自分で選ぶことが、何より重要ではないでしょうか?
ちなみに僕は優柔不断です。
なので、スパッと決められず、タイミングを逃したことも多くありますし、選んでからも、別のにしておけばよかった、なんて後悔をしています。
でもこんな言葉があります。
「自分に起こる全ての事象は自分にとっての最善」
これは僕が勝手に師匠と呼んでいるあだち先生という方の座右の銘です。
自分なりに意訳すると「自分で選んだから今ここにいる」なんですね。
他の道でも良いこと、悪いことがあったけど、自分で選んだ今の道が、一番良かったんだよ、と思えばいいんです。
とりあえず、やってみる。 優柔不断の皆さん、一緒に頑張りましょう!
今日はこの辺で。
柏市消防局「にじいろ救命女子」について ~全国消防協会編集「ほのお」2018年10号より~
昨日は全国各地で出初め式が開催されたようです。 東京消防庁の出初め式がNHKで中継されてましたが、やはり規模が凄いですね。 全国中継なので、国を使って宣伝してるのと同じですから、地方公共団体としての目線からだと、凄く効果の高い宣伝ですよね。
さて、どうしても規模が大きい東京消防庁さんが目立ってしまいますが、消防の規模は基本的に市町村単位です。 なので、もっと小さい単位、うちの地域はこんなことやってるんだけど、全国への広報は出来ないのか?という要望が多くあります。
そういった声を集め、関係団体が機関誌を作成してくれているのですが、今後はこの場を借りてそちらを紹介していきます。
「ほのお」2018年10号より
まず今回はこちらの紹介です。
こちらは月に一度発刊されており、本来は有料ですが、職場で購入しているため、そちらから引用させていただきます。
柏市消防局、女性職員の増員へ
消防、警察、そして自衛隊の、いわゆる体育会系公務員などと呼ばれている団体は、依然として女性の比率が高くありません。
その中でも、消防は全国で見ると女性職員は 全体の2.7%しかいないそうです。
そこで、柏市消防局は、平成27年9月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が制定されたことをきっかけに、女性職員の増員を図るため、執務環境の整備などを推進したそうです。
住民からの、女性職員に対する見方。そして、「にじいろ救命女子」の誕生
職場単位では、少しずつ増員へ向けての準備を進めているようですが、実際に柏市消防局で働いている女性職員の声を聞いてみると、このようなコメントが掲載されています。
「現場では、いることに驚かれたり、不安に思われることもあるが、安心してもらえたこともある」
昔から「婦人警官」という言葉はありますが、「婦人消防」というと、職員ではなく婦人防火クラブや、婦人消防協力隊のイメージが強いので、やはり住民目線だと、普通ではないようです。
そこで平成30年3月3日、柏市消防局の救急隊、消防隊員計13名で「にじいろ救命女子」を発足しました。
「にこにこ笑顔で」「情熱と」「癒やしの心で」「老若男女に安心を」の、それぞれの頭文字をとった名称です。
女性消防職員が主導となり、広報活動、子育てイベント等への参加や、ホームページで活動などを紹介する動画も紹介しています。
女性が働く消防、それが普通になるように
さて、話は変わりまして。 僕の初任地は地元の分署でしたが、ここに女子トイレはありませんでした。 建築された当時、恐らく女性職員がいなかったからだとは思いますが、今考えると、おかしいですよね。
昨年新築された地元の庁舎は、女性用トイレ、更衣室、仮眠室も整備されています。 10数年前から建て替えられている庁舎には、全てトイレは男女別ですし、近年は仮眠室だけでなく、シャワー室も別で完備されています。
まずは働く人たちが、安心して勤務できる環境の整備、そして住民の皆さんから「いて当たり前」と見られるような状況を作っていくこと、そして女性が主体となって活動できる場を広げていけるかが、これからの課題ですよね。
そうすれば、「ここで働きたい!」と思ってもらえるような職業として、認められるのではないでしょうか!
今日はこの辺で。
連休は、休むものではない。ライバルとの、自分との戦いを進めるための合宿期間である
明けましておめでとうございます。
昨年11月から始めたこのブログですが、全然更新できてません。
だからといって辞めるのも意味がないので、ぼちぼちと続けていく予定ですので、本年もよろしくお願いします。
まぁ最初ですので、少し前向きな話をしていきます。
年末年始、どう過ごすか?元旦休みって何?
いきなりですが、自己啓発って大事ですよね。 世に出ている先人達は、色々な苦労を重ね、その場にようやく辿り着いています。
そんな方達が、これから茨の道を進もうおする皆さんに残した言葉が沢山あります。
その中から、今日は3つを選びましたので、これに学んでいきましょう!
「明日やろうは馬鹿やろう」 「1年の計は元旦にあり」 「1日休んだ分を取り戻すのに3日かかる。 3日休んだ分を取り戻すのに1週間かかる。 1週間休んだ分を取り戻すのに1ヶ月かかる。」
年末年始を休みと思うな。自分への投資をしろ
とりあえず3つ紹介しましたが、勘の良い方はもう何を言いたいから察しているかもしれませんが、その前に自分の事を少し書いておきます。
一応、暦の上では12月29日から1月3日まではお休みです。 ですが、ご存じの通り、消防や警察という組織に休みはありません。 24時間、365日、無休です。
かく言う僕も、大晦日は勤務の日で、職場で新年を迎えました。 ちなみに、消防に入ってからは、半分以上を職場で迎えております。
だから、年末年始は休み、という感覚を捨てています。 むしろ対外的なものは休みなので、溜まった仕事を処理したり、走ったり、職場で読書をさせてもらいました。
さて、何が言いたいかというと、休みを休みと思うな、ということですね。
こういう計算式は知っていますでしょうか?
一日で1%の成長をする人と、1%サボる人との差は、1年経つとどうなっているのか?
借りてきた画像です。すみません。説明すると、 1%成長する人は、次の日に1.01になります。 1%サボった人は、次の日に0.99になります。
それを1年間積み重ねていくと、 1%成長する人は、一年後に37.8になります。 1%サボった人は、一年後に0.03になります。
これには書いていませんが、1週間で計算すると、 1%成長する人は、1週間後に1.07になります。 1%サボった人は、1週間後に0.93になります。
同じく、1ヶ月(30日)で計算すると、 1%成長する人は、1ヶ月後に1.34になります。 1%サボった人は、1ヶ月後に0.73になります。
こうして見ると、最初に書いた3つの言葉、重みが出てきませんか?
たかが6日の年末年始休み、逆に何が出来るか考えてみよう
まぁ簡単にまとめてしまうと、他の人が休みだと思っている時は、自分が成長するための期間、くらいに考えて欲しい、ということです。
じゃあこの年末年始の休みは、何すればいいの?という話なんですが、自分で考えてください! 人に頼る時点で負けですよねー、と自分に言い聞かせてます。
まぁ参考にするなら、6日あるので、最初の1日で計画を立てて、準備をするのがいいと思います。 残りの5日で何をやるか、何が出来るのか。
今流行りの英会話なら、中学校の頃に習った英単語を見直してみて、洋画を字幕で何回か見てみるでもいいです。
投資を始めたいというなら、まず何でもいいから本を購入して、口座を開設してみる、とかでもいいです。
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という話を、29日くらいに書く予定でした。 偉そうなこと書いてすみません…。
今日はこの辺で。
札幌ガス爆発事故、正しくは「爆発火災」。そこから学ぶべきものは?
いきなり寒くなった今年の冬ですが、少し寒さが和らいできましたね。
そんな中、北海道から熱い話題が入ってしまいましたね。
とりあえず消防関係者としては触れなければならない話題ですので、札幌のガス爆発について今日は書いていきます。
爆発事故と呼んでますが、火災の三要素から見れば火災です
まずは、火災の定義を紹介しておきましょう。
火災とは、 ①人の意図に反して又は放火により発生 ②消火の必要のある燃焼現象 ③消火施設又はこれと同程度の効果のあるものの利用が必要 の、3つ全てに該当すると、「火災」という扱いになります。
これを火災の三要素と呼んでいます。
ですが、爆発の場合は②、③があってもなくても火災になります。
そして、今回の札幌の事案を映像で確認していくと、爆発の継続があり、焼損物件があるので 、札幌のガス爆発事故、これは正しくは爆発火災です。
爆発の定義
また、爆発と一言で言ってますが、こちらもきちんと定義があるんです。
爆発とは ・化学的変化による反応の形態のひとつ ・急速な化学反応で多量のガスと熱を発生 ・爆鳴、火炎及び破壊作用を伴う現象 だそうです。
言葉にすると難しいですが、報道で出てる情報を並べると ・引火性のガスに火が着いた ・炎が上がっていた ので、まぁ定義を知らなくても爆発だ!って思いますよね。
夜の火災では死者が出るのに、あの規模で死者はなし
しかし今回の事案、不思議だな?と感じたのは、死者がいなかったことです。
火災に伴う死者は、火災発生から48時間以内に、その火災に関わって亡くなった人の事をいいます。
被害はあの大炎上、建物が20棟、車両26台、42人が重軽傷という規模にも関わらず、死者がいなかったのは凄いです。
逆にあの時間帯、一般住宅の火災だと、死者がいておかしくありません。
では逆に、何故火災で死者が出るのか?ということを考えてみます。
火災の死者で一番多いのは、逃げ遅れによるものです。
火災による死者の原因のほとんどは、逃げ遅れてしまったため、気道熱傷(呼吸に関する器官が焼ける)によるものが多いです。
逃げ遅れる理由も、煙を多量に吸い込んでしまい、意識があっても動けない状態だったりする場合がほとんどです。
今回の札幌ガス爆発火災、建物の倒壊はありましたが、それによる閉じ込めがなかったこともそうですし、巻き込まれた人も逃げることが出来た、ということが、死者が出なかった要因のひとつと考えられます。
そう考えると、やはり火災と早期に気付くこと、そして逃げることが、命を守るために重要だと考えられます。
ですので、何を言いたかったかというと、皆さん住宅用火災警報器を設置してくださいという話です。
今日はこの辺で撤収。
バイタルサインの正しい理解、普段から知っておくこと! ~あなたの心拍数、正常ですか?~
今夜は映画シン・ゴジラが放送されていますね。 住民を避難誘導する東京消防庁の皆さん、頑張ってください!
というかフィクションであってください。 本当にゴジラが出現したら困ります(笑)
というわけで今日はバイタルサイン、中でも心拍数について書いていきます。
普通だと思っていたのに、普通ではなかった隊員
我々消防は、基本的にサイレンを鳴らして出動するごとに報告書を作成することになっています。 これを1事案1報告と呼んでいます。
で、先日、救急出動した時の報告書を、同僚が作成していた時の話です。
同僚「心拍数って、いくつから徐脈でしたっけ?」
自分「60回を切ったらだよー」
同僚「60回?んじゃ俺、普段から徐脈じゃん!」
つまり、同僚は常に異常だったようです!
正常とされている心拍数とは
心拍数とは、一分間に何回心臓から血液を送り出しているか?を表しているものです。
皆さんが生きている間、血液を全身に巡らせるため、心臓は絶え間なく動いています。 緊張したり、激しい動きをしたりすると、心拍数が上がると思います。 これは、血液を多く送り出し、全身に多くの酸素を運ぼうとするからです。
そして、正常な心拍数は、一分間に60回から100回と定義されています。
また、60回未満の状態を徐脈、100回を越えると頻脈と呼んでいます。
ちなみに、一般的には年齢によって心拍数も違うと言われています。 小さい子は平常時でも100回近いですし、胎児は180回くらいですからね。
あと、一部の理論で「生涯において、総合的な脈拍数は決まっている」という話もあります。 例えば、象とネズミを比べてみると、象の心拍数は一分間におよそ30回、ネズミは一分間におよそ200回(!)ですので、象は寿命が長く、ネズミは短命、なんて話ですね。
実はスポーツ選手は徐脈?
ちなみにこの同僚が、自分は医学的に見ると異常という話をした時、その日の当番者7名のうち、3名が徐脈でした。
ちなみに僕も該当、平常時は50回代なので徐脈です。
これは医学的に言うと心臓肥大、俗に言うスポーツ心臓というものです。 激しい活動に耐えられるよう、心臓が1回で送り出す血液量を増やし、心臓への負担を減らすためのものであるようです。
そういう人は、ほぼ心拍数は60回を切ります。
ですので、正常な範囲として、一分間に60~100回という定義がありますが、普段とどう違うか、それを把握するために、自分の平常値を知っておくことが大切となります。
心拍数の測り方はいろいろありますが、それはまた別の機会にお話します。
今日はこの辺で。