消防における、正しい敬礼のお話 ~でもこだわってはいけませんよ~

しばらくブログから離れてしまいました。

その間に、10連休も終わり、 危険物安全週間も終わり、 自分の所属の消防演習も終わってしまいました。

ちなみに皆さんの地区は、消防演習ですか? 観閲式ですか? どうやら地域で呼び方が違うようなんですが… 最近教えていただきました。

それについては調べようがなさそうですので、 ここで話を終わらせておきましょう。

ということで、今日は敬礼についてのお話です。

そもそも敬礼って何?何が元になっているのか?

「どうも、ご苦労様です!」 といいながら、警察官に敬礼をする、酔っ払い。

何かのテレビ番組で昔、よく見た気がします。

果たして、これは正しい敬礼なの? という話ですが、恐らく間違いです。

正しい敬礼は、礼式というものに定められています。

消防に採用され、消防学校に入校した時、 訓練礼式というものをまとめた本か渡されます。

その本には、敬礼をはじめ、気をつけの姿勢、歩き方、動き方、車の点検の仕方などが記載されています。

つまり、消防の個人や隊としての、動き方の取り決め全てが掲載されている本です。

実はこの本、僕が持っているのは消防学校で作成されたもので、いわば地方版です。

ただ、この本のベースとなっているのが、消防大学校で指導している内容なんですね。

そこで教わった内容を、全国各地に持ち帰り、教本としてまとめられたもの、それが訓練礼式です。

ですので、各地の訓練礼式は、発行が各消防学校、でも全国で中身は同じ、ということになります。

正しい敬礼とは?

では、いよいよ正しい敬礼を説明していきます。

あ、用意するものは、帽子です。 つば付きのキャップタイプの帽子を被ってくださいね。

まずは、基本の姿勢をとります。 一般的に言う、気をつけ、の姿勢です。

そこから、右手を挙げ、つばの根元に中指をくっつけます。

はい、その姿勢が正しい敬礼の形です。 記念撮影は、この姿勢で行ってください。

難しくはないと思いますが、実は細かいポイントかあるので、下記に補足しておきます。

  • 肘は、肩の高さまで上げる。
  • 指先から肘までを真っ直ぐにする。
  • 指と指の間は開けないようにする。
  • 手の平は前に向けないようにする。
  • 肩の高さを左右で同じにする

軽く列挙するとこんな感じですが、動きの中にも注意することがあります。

非公式ですが、色々なタイプの敬礼を紹介

次に、敬礼の姿勢ではなく、動作について説明します。

一応こちらも正しいものが存在しますが、多くの方を見ると、色々なパターンがある事が分かってきます。

正しい、正しくないとは別に、動きに勝手に命名したので、そちらを紹介していきます。

  1. ポケット抜き差しタイプ
  2. ワイパータイプ
  3. 海兵タイプ

まずは、ポケット抜き差しタイプです。

一応、僕のいた消防学校では、これが正しいと教わりました。

やり方は、基本の姿勢(気をつけ)から、 右手を真上に引き上げ、 中指をつばまで最短距離で動かす、 戻すときはその逆で、というものです。

右手を真上に引き上げる動作が、 ポケットに入れた手を抜く動作に例えられているため、ポケット抜き差しと名付けています。

次に、ワイパータイプです。

車のワイパーの動きと言われて、イメージつきますか? 左右にウィーンウィーン動く、あれです。

上記の抜き差しタイプと違い、最短距離を動くのとは異なります。

右手をつばの根元に乗せる際、ちょっと上に抜けてから、ワイパーの動きのように降りてくるというものです。

このワイパータイプはあまり正しいと言われてません。 やってるうちにそうなる、というものです。

極端にやると、某コントで、酔っ払いが警察官に向かってやる敬礼、ですね。 あの、くるくる回して上から降ろす動きです。

そして最後が海兵タイプ。

これは動き、というより、形の話です。 ちなみに消防的にはこれも正しくないです。

敬礼の姿勢、肘の高さは肩まで上げますが、横に張るのではなく前に出します。

船の上の限られたスペースで普通の敬礼をすると、肘が当たるそうです。 そのため、肘を横ではなく、前に出すことで、隣の人とぶつからないようにするためとか。

ですので、僕はわざと海兵タイプを使うことがあります。 たまに狭いところで集まることありますからね。

正しい敬礼はあるが、関係者以外に強制はしなくていい

で、何が言いたいか、というと、 今回この記事を見ていただいた方には、基本の正しい敬礼をやっていただきたい、ということ。

その方が、格好いいんですよ。

そして、やり方が違う人を見て、厳しく注意したりしないでほしいです。 その人達は、教わったわけではないんですから。

ちなみに少し上記しましたが、僕も常に基本の敬礼のみ使っているわけではありません。

狭いところで敬礼するときもそうですし、 他にも、写真撮影するときもわざと正しくないのをやります。

消防車と記念撮影するときに、ポーズで敬礼を進めるんですが、 カメラ側に立って、左手で敬礼をするんです。

みんな敬礼で撮ろうか!と言うと、それを見て右手でマネをしてくれるんです。

そうすると、写真を撮られる人達は、みんな右手でやってくれるので、ポーズが揃うんですね。

そこで肘が低いだの、指が曲がってるだの、 わちゃわちゃ言ったら空気が悪くなりますよ。

それが大人の優しさ、気遣いってものですよね。

今日はこの辺で。