消防士に求める人材は、オールラウンダーと職人気質!消防職員が考える、仲間に欲しい人材について考察

先日、9月9日は語呂合わせで救急の日でした。

世界規模で見ると、9月11日はアメリカでのテロがあった日で、今年も追悼式典なんかが開催されていたようです。

要するに、9月は防災関連のイベントデーが多い!ということなんですが、 だからってブログを更新してないこととは別ですよね。

ということで、ちょっと今回からは時間をかけながら、連載シリーズを展開することにしました。

題材は、以前にも少し書きましたが、消防士に向いている人、仲間になって欲しい人についての考察です。

ちなみに、前のシリーズはこちら。 消防職員に欲しいのはトーク力

結論として、消防に求める人材はオールラウンダータイプと職人気質タイプ

初めに僕の考えを結論として書いておきますが、消防に欲しい人材としては、 オールラウンダーと職人気質です。

オールラウンダーとは、簡単に言えば何でも屋さんタイプです。

弱点がないといえば聞こえが良いですが、逆に言えば飛び抜けた所もない。

全体のレベルが高ければ、ユーティリティプレーヤーとして引く手数多になりますが、 逆にレベルが低いと全てが中途半端なので、逆に不要品扱いされてしまいます。

そして、職人気質とは、簡単に言えば専門家、変な言い方で言えば専門バカです。

オールラウンダーとは逆で、一部に飛び抜けた知識や技術を持つタイプ。

天才型とも呼ばれることがありますが、飛び抜けて出来る部分以外は全くダメ、というパターンが多いです。

天は二物を与えず、と言った表現をされたりもしますよね。

ちなみに僕は、どちらかと言えばオールラウンダータイプです。 消防学校での成績で言えば、中の中くらいです。 チームオーダーを組むときに、先発とジョーカーには選ばれず、何かあったときの保険要員です。

自分の狙い通りのポジションですが、出番は約束されてないも同然ですね。

では、僕の経験や考えから出した、オールラウンダーと職人気質について、理由を説明していきます。

消防は異動があるからこそ、何でも屋オールラウンダーも、職人気質な専門家も欲しい

まず最初は、職場環境の視点からです。 異動があるからこそ、何でも屋のオールラウンダーも、専門家も欲しい!という所から説明します。

全国的に、消防は市町村単位で構成されています。 また、複数の市町村が広域連合などとなり、構成されていることも多くあります。

この理由について、財源確保のためや、共同運営だと事務方の負担が減るとかあると考えられますが、 ここで大事なのは、いずれにせよ勤務地が一つではない、と言うことです。

言い換えれば、必ず異動がある、ということ。 僕の勤務する広域消防は、およそ3~5年で異動になります。

つまり、その職場は、3~5年すると、人が全て入れ替わってしまうということ。

その時に、オールラウンダーな何でも屋がいれば、とりあえず何かあっても対応できますよね?というのが僕の考えの一つです。

また、前述しましたが、異動の際に、担当係の変更などもあるのが普通です。

勤務地が変わっても、同じ係を長く続けている方もたまにいらっしゃいますが、 その方は、〇〇畑(例えば、予防畑など)が長い、と呼ばれます。

その人達は、しっかりと根拠となる知識があったり、莫大な経験値をもっていたりと、とにかく便りになります。

そういう方達は、どこに異動になっても生き字引として、頼られるというパターンが多いです。

僕から見ると、僕自身が専門家ではないので、最後の拠り所としていて欲しいと思う人材です。

浅めの対応はオールラウンダー、 深めの対策は職人気質、といったように、 二重の対策があれば安心できるというものですね。

消防は妙に詳しい業者を相手にすることがあるからこそ、職人気質な専門家が欲しい

さて、次は僕の経験からもう少し具体的な経験からの話をしていきます。

現在いる署の前の所属の時、妙に詳しいというか、頭のいい感じの設備業者さんがよく来てました。

その方は、前例に倣ってとりあえず工事をする、というタイプではなく、 消防法を読み解き、この解釈もできますよね?と答えを出してくるタイプの方でした。

当時、設備の書類審査について、 「とりあえず、他の建物の書類を見ながら真似て審査してみて」 と先輩や同僚から教わっていた自分にとって、 この設備業者さんは巨大な壁に感じました。

その壁を切り崩してくれたのが、当時の主任さんでした。

その主任は、専門バカというより専門家で、とにかく設備には詳しい方でした。

業者から消防用設備等設置届が提出されれば、さらっと見ただけで決裁できるかどうかがわかるレベルだったようです。

例えると、買い物袋を何となく見ただけで料理のできあがりが見える、という感覚です。

消防は少人数で対応しなきゃないことがあるからこそ、何でも屋オールラウンダーが欲しい

さて、次は消防相手の住民の皆さんからの視点で説明します。

僕は田舎者なので、たまに都会に遊びに行くと、高い建物の並びにたまにびびります。

仕事の関係でそういった建物に入ったりはしないんですが、よくある大きな会社って、必ず受付がありますよね?

まぁ役所なんかは最たるものですですけど、どこに行けば用事が済むのか、わからないもんですよね。

「すみません、住民票が欲しいんですけど」 「はい、1階の2番窓口で対応します」

みたいな、案内役がいると安心ですよね。

実は、消防でも書類受付が多いんです。 避難訓練指導の依頼、防火管理者選任の届け、新事業の使用開始届けなど。

他にも、道路工事による通行止めの届け出、救命講習の申し込み、露店の開設届など。

今挙げたもので、全て消防に提出するものですが、対応する係が違うんですよね。

そして、担当係員が出動中だったりすると、また後で来てください、って話になってしまうんです。

そもそも、当番者が3人とかの職場もあるくらいですから、担当者がいない可能性がさらに上がっちゃいますよね。

そんな時に、広く浅く知識を持つオールラウンダーがいると、とりあえずの対応は出来るので、相手の一手間を減らすことが可能です。

ナチュラルに淡々と対応できるタイプとか、重宝されますよね。

ちなみに、僕は初任地では、3年目にこのタイプになってました。

とりあえず来署するお客さんは、一旦僕の窓口業務を通すことになってました。

消防に限らず、パーフェクトな人材はほぼいない。だからこそのチームなのだ

今回は、消防士に欲しい人材のタイプについて書きました。

本当なら、何でも完璧にこなす人が何人もいればいいんですが、まぁそうそういないんですよね。 いろんなのタイプがいてもいいと思ってますし、それが普通だと思います。

とはいえ、災害現場では、そんな悠長な事を言ってられません。

だからこそ、消防って必ず部隊、チームで動くんです。 個々がそれぞれの責務を全うし、最終的に困っている人の役に立つようにする。

新人だって、ベテランだって、住民から見たら、みんな消防士に見えるんです。 その道の、プロとして見られるんです。

という感覚を常に持って行動する、そんな人が消防には求められてるかもしれませんね。

という、面接試験のヒントを追加して、今日は締めたいと思います。

今日はこの辺で。

シリーズ続編はこちら。

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